上記研修会にファシリテーター(講師)として参加してきました.

皆さんは「緩和ケア」という言葉をご存じでしょうか.2007年がん対策推進基本計画で「すべてのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについての基本的な知識を習得する」ことが目標として掲げられました.当時がん診療連携拠点病院の精神科医師として緩和ケアに携わっていた私は2008年に指導者研修会を修了(ファシリテーター資格を取得)し、2009年から大阪府内の様々ながん診療を担っている病院で開催される「緩和ケア研修会」でがん患者さんの精神症状に関する講義や患者さんとのコミュニケーションに関する講義を行ってきました.このような研修会は大阪府下では年間約40病院で開催され、ファシリテーターをしている精神科医・心療内科医・それに準ずる資格者は府内に約50名います.そして2012年6月に策定された第2期がん対策推進基本計画では5年以内にがん診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し知識と技術を習得すること、とより目標は明確化され、特にがん診療連携拠点病院においてはその病院でがん診療に携わっている全ての医師が緩和ケア研修会を修了していること、が目標として打ち立てられました.2016年9月時点では全国で約52200名がこの研修会を修了しています.

皆さんの主治医は研修会を修了されていますでしょうか.

日本人の3人に1人ががんで死亡し、2人に1人ががんになる時代.100人に1人ががん医療を受けているとされています.がんと診断された時から、緩和ケアを適切に受けることによって、身体の痛みだけでなく、精神的、心理的な苦痛、その人をとりまく環境や経済的な問題(苦痛)が緩和されることを国は目指しており法律に明記されています.診断時から、がん治療と並行して外来で緩和ケア診療を受けると、受けなかった群に比べてQuality of Life(QOL)が改善しただけでなく、うつや不安を生じる者が有意に減少し、予後が2.7か月延長したというデーターもあります(Ternel JS 2010).緩和ケアは決して末期の治療やターミナルケアではなく、がんと診断されたその時からがん治療と同時に始められるべきものです.

そしてもう1つ大切なことは、緩和ケアの対象となるのはがん患者さんだけではないということです.神経難病、認知症、慢性心不全、腎不全末期、COPDなどの非がん疾患も対象となります.WHOは緩和ケアを「緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者と家族の痛み、その他の身体的、心理社会的、スピリチュアルな問題を早期に同定し適切に評価し対応することを通して、苦痛を予防し緩和することにより、患者と家族のQOLを改善する取り組みである」と定義しています.私が以前勤めていた病院の元院長先生は「緩和ケアはすべての医療の基本だ」とおっしゃっていました.少しでも多くの医師が緩和ケアマインドをもち、少しで多くの患者さんが緩和ケアを受けられる時代になりますように.

市立池田病院PEACE